シュガートリック
それにまず天瀬に連絡先は教えてないから。
天瀬を利用して俺の連絡先がほしいってことか。
……そんなの、絶対嫌だね。そういうの俺は嫌い。
ゾワッと不快に思って、そんな女達の視線から逃げるように靴を履いて外に出た。
積もった雪が少し溶けてきているが、それでも寒いものは寒い。
白い息を吐きながら校門を出ていつもの帰り道を歩いていると。
……人影?
遠くの方に、止まっている人影が見えて。
なにしてるんだ?と思いながら歩いて段々近づくと、姿が見えてくる。
キョロキョロと周りを見ているその姿は……明らかに、天瀬だった。
あいつはなにしてるんだ……?
そう思いながら足を止めずに近づいていくと、俺の気配に気づいたのかパッとこっちを体ごと向けて見てきて。
「……あ!!」
「……そこでなにして──」
「は、春哉先輩ー!!」
「…うるさい」
俺に気づいて、どこか安心したような顔をしながら俺の名前を叫んできて。