シュガートリック
ふん!と怒る素振りをする天瀬に、俺の中の知らない感情が込み上げてきて、耐えきれず笑ってしまった。
「…っくく……っはは……!」
「…え、春哉先輩?」
「ムカついたって……怖がらない天瀬が変なんだよ……ふっ」
「な……っ!いや、みんな女嫌いっていうのに囚われすぎなんですよ!!春哉先輩のこと女嫌いでしか見てないじゃないですか!ちっとも知りもしないで……!」
「…あはは……っ!」
ほんと、天瀬は他の人とは違う。
俺の周りにいる人間は、女嫌いな俺に拒絶されるのが怖くて近づいてこないのに。
天瀬は、そんな壁もなく容赦なく近づいてくる。
天瀬の発言が俺にとってはおかしくて、でもどこか嬉しく感じて、思わず声に出して笑ってしまう。
そんな俺に釣られたのか、天瀬も吹き出して笑った。
「っちょっと笑わないでくださいよ……あはは……っ!」
「あー久しぶりにこんな声出した」
「ふっ、春哉先輩も笑うんですね」
「……まあ」