シュガートリック




流歌ちゃんとは帰り道が反対方向だから一緒に帰れない。
なのでいつも一人で歩いている。

帰りも朝と同じ。
誰とも目を合わせないように一点だけを見つめて玄関に向かう。

……今日はまだ人少ないみたい。よかった。
友達と話してから帰る人が多いから、私からしたらラッキーだ。


玄関について、下駄箱から自分の靴を取り出そうとした時。

近くから足音が聞こえてきたかと思うと、その足音は私の後ろの方でピタリと止んだ。

……あ、私邪魔かな?
靴を取りたいのだろうか……と思って、急いで靴を手に取って振り向くと。


「…やっほー、花染さん」

「…っわ!?」

「また会ったね?」


そこには、朝も見た月居くんの姿があって。
月居くんも驚いたように手を振ってきた。


「…つ、月居くん……」

「え、俺の名前知ってたの?」

「あ、今日知って……」



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