シュガートリック




今は運良く周りに人いないけど……そういう問題じゃないんだってば……っ!
こんな顔晒すの恥ずかしいじゃん!

そう訴えると、月居くんはまた私の口に人差し指を置いて。
なっ、なっ……、名前で呼べってこと……っ!?


そ、そんなの無理……っ!
頭で考えるよりも先に身体が動いて。頭をブンブンと横に振っていた。

私男の人の名前呼んだことすら、ほぼないのに……っ!


「ダメだよ呼ばなきゃ。そうじゃなきゃ帰さないよ」

「でも、無理……っ」

「…ほら、人来ちゃうよ?」

「……っ」


無理だって、そう言ってるのに。
月居くんって意地悪なの……っ?

そうモタモタしている間に、遠くの方から話し声が聞こえてきて。
ここに近づいてきているのがわかる。

もし、今この状況を見られたら……また、噂流されちゃうかも……っ!
でも……どうしよう……っ。

この距離。絶対誤解を産む距離だ。



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