シュガートリック
月居くんはそんなこと気にしていないようで。
余裕そうに、私を見つめている。
段々話し声が近くなりどんどん焦ってくる。
それと同時にもっと顔が真っ赤になり始めて。目が潤んできているのがわかる。
「……っ、し」
「うん、なに?」
「…っし、き……っ、識、くん……っ」
「……」
お願い、これで解放して……っ!
月居……じゃなくて、識くんの目を見上げながらもそう訴える。
すると、声が近くなってきているにも関わらず識くんは無言になって。
「…はぁ……俺もう後戻りできない気がする」
「へ……?」
「……可愛すぎる。本当に無自覚?」
「無自覚……?」
「…まあいいや、とりあえず」
少し顔をゆがめてそう言った識くんに疑問が浮かぶ。
声がすぐそばまで来ているのが分かったと同時に、靴を履いた識くんが私の腕をグイッと引っ張ってきて。
そのまま引っ張られて外に出る。