シュガートリック
「信用してるの?」
「……それは……」
「……」
「……ほんの少し、だけ」
流歌ちゃんからの質問に、言葉が詰まってしまう。
そうして弱々しく出た本音。
……正直、信用はまだ……。
識くんがどういう人なのかわからない以上警戒しなければならない。
私を噂通りの人間だと勘違いしたとはいえ、キスしてきたわけだし。
もしかしたら、またあの時みたいに……っ。
"あの時"。
思い出すだけでも怖くて身体が震え出してしまう、去年の出来事。
……っあんな目には、もう二度と合いたくない。
だから誰とも目を合わせないって決めた。
だからこそ、なんで私は識くんの目を見れるのだろう。
男性に対してはほとんど恐怖を感じるのに、識くんだけは……例外だった。
「私は雪音の選択、別に止めないよ。進めたりは絶対しないけど、雪音が月居を信用したいと思ったなら止めはしない」
「……」