シュガートリック
「あれ、綾野さんじゃん。雪音と仲良かったの?」
「げっ……どーも、月居識。私は雪音のことあんたよりも一億二千倍は知り尽くしてるから」
「うわー、なにそれ綾野さん意外とムカつくね」
すると、識くんは私から流歌ちゃんに視線を移して。
流歌ちゃんは分かりやすく不機嫌で、そう話している。
い、一億二千倍……?具体的……そして多いね結構……。
「でもなんでこんな隅っこにいるの?」
「……雪音の安全のため」
「…なるほどね」
識くんからの純粋な問いに、流歌ちゃんはコソコソと小さい声で答える。
それに識くんは納得して頷いている。
「…あんた、雪音がどれだけ純粋で可愛い人間か、知ってるんでしょ?」
「えっと……流歌ちゃん?」
「マジで、雪音のこと怖がらせたら許さないから。マジで」