シュガートリック
ジロっと識くんを睨むようにそう言った流歌ちゃんに声をかける。
けど、そんな私を気にもせずに、"マジで"を強調して言葉を並べた流歌ちゃんに少しヒヤヒヤする。
「まるで俺が悪者みたいな言い方するね。俺は紳士だよ。例え泣かせたとしても、怖がらせはしないから安心してよ」
「……やっぱりダメ。雪音、この男はクズだよ逃げな」
「え?えっと……っ」
泣かせる……?
泣くっていうことは、結局怖がらせるつもりなんじゃ……。
そう考えていると、流歌ちゃんが私に向かって危険と訴えてきて。
なにもわからずに困惑してしまう。
それに、フッと色っぽく笑った識くんにドキリとすると。
「あ〜!識〜〜っ!!」
「え……?」
遠くから聞こえてきたその声に驚いて視線を向けると。
識くんを呼んでいる女の人がいた。
チラリと識くんを見ると、一瞬だけ嫌そうな顔をして。