シュガートリック




すぐに、また笑顔に戻った。

でもその顔はなんだか……私達といた時とは違う、感情の籠っていない笑顔。


「はーい、今行くね〜」


声は弾んでいるように聞こえるけど、表情はどこかつまらなそうで。

私たちに一度手を振ってから、すぐに女の人の方に行ってしまった。
女の人に近づくと、女の人の方から識くんの腕に絡みついていて。

……その光景に、少しだけ嫌な思考が頭に浮かんだ。


識くんにとって、私もああいう子と同じなのかな……。

私はああやって人に抱きついたり距離縮めたりとかできない。
それに、識くんと男女の関係を望んでいるわけでもない。

それでも、もしかしたら私も識くんにとっては……そういう積極的な子と同じなのかも。


そう思うと、少し心臓がズキリと痛んで。
自分の弱さを思い知らされた。



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あれからいつも通りSHRを過ごして。



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