シュガートリック
本当に残念そうに口を尖らせた識くんに、ドキドキが収まることはなくて。
「だ、だめだよ……っ!そういうのは好きな人とするものだよ……っ?」
「えーそうなの?じゃあ雪音が俺の事好きになればいいんだよね?」
「…っえ!?ならないよ……っ!」
「そうかなー?でも雪音チャン、俺の言動にドキドキしちゃうんでしょ?」
「それは、慣れてないからだよ……っ」
私が、識くんを好きになる……っ?
なんでそんな意識させるようなこと言うの……?私のこと困らせたいんでしょ……っ!
「雪音のその顔たまんないね。すっごくそそられる」
「〜〜っも、やだぁ……っ」
もうそろそろ限界になってきて。
顔を手で覆って声を絞り出す。
それに、フッと前から笑う声が聞こえてきて。
「ねぇ、雪音?」
「……っ?」
そのまま近づいて、耳元で私に声をかけてくる識くん。
それに、ビクッと反応すると。
「…二度目、奪われないように気をつけてね?」
識くんは、そう余裕そうに微笑んだ。