シュガートリック
ダメダメ、しっかりしなきゃ……っ!
気を緩めないように席に向かう。
その間も視線が集まっているのを感じた。
椅子に座って時計を見ながらボーっとさっきの事を考える。
……これ、結局識くんと帰るってことだよね……?
ハッキリと返事出来なかったけど、あの流れは絶対そうだ。
ふぅ、と自分を落ち着けるようにため息を吐く。
「あ、春哉くん戻ってきた」
「ほんとだ……」
近くの人の声が聞こえて、思わずドアに視線を向けると。
女子の視線を嫌そうにしている日野くんが教室に入ってきていた。
……っう、やっぱり少し怖い。
でもさっきのことがあるからなんだか気になってしまう。
そのまま自分の席に向かって座ろうとした日野くんが、一瞬だけ視線を私に向けて。
「……っ、」
その冷たい視線から、本当に女嫌いだと分かってしまう。
わ、私としたことが……目、合わせちゃった。