シュガートリック




「識ばいばーいっ!」

「今度私とも帰ろーっ?」


すると、周りにいた女の子たちが識くんに向かって声をかけて。

…うぅ、なんか気まずい。

この状況がどうしようもなく気まずくて鞄を持つ手をぎゅっと握る。

識くんを見ると、笑顔で手を振っていた。
でも返事はせず、口を開こうともしていない。

……まただ。
識くんのその笑顔はやっぱり……作りものにしか見えない。

女の子と仲良いのに……なんで目が笑っていないの?
顔は笑っているのに、どうでもいいとでもいうような瞳。

それが不思議でよくわからない。


そのまま女の子たちの前を通り過ぎて、識くんの後ろ姿を見つめていると。
ふと私に視線を移して、ピタッと足を止めた。


「…なんで斜め後ろ?」

「え…っと……なんか申し訳なくて?」

「どういうこと?」


識くんからの質問に、意味のわからないことを言ってしまう。



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