シュガートリック




識くんのその言葉に聞き返してしまう。

なんだかそれがジワジワきて、ふっと笑いが出てしまった。


「ふふっ、迷惑とかないよ?ただ識くんが優しかっただけでしょう?」

「…っ、え」


誰も悪くないし、謝ることじゃないよ。
時間割を知らなかったとしても自分じゃなくて他人優先で貸してあげられるのは、優しいよ。

そんな私に目を見開いた識くんは少し耳を赤くして。


「あー……ほんと魔性の女」

「え、魔性……?」


ボソッと呟いたその言葉に疑問を持つ。
どういう意味だろう……?


「……なんでそんな可愛いの」

「か、かわ……っ?」

「どれだけ俺のこと困らせたいわけ?」

「え……っ?なに言って……っ」


こ、困らせる……っ?

心当たりがなくて識くんを見ると、少し困ったように顔を隠していて。
わ、私何かした……っ?




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