シュガートリック




そうやって私の事まで考えてくれているのがわかると……識くんとならいいかなって思ってしまう。


「でもしょうがないよね……私たち元々の噂が似てるから」

「…俺は間違ってないからいいけど、雪音の噂は間違いだらけだからな」

「……うん。なんかこっちが騙してるみたい」


そう考えると……そのせいで私はありのままの自分出せなくなってるんだよね。
ありのままの自分を出したら噂と違いすぎて周りを騙したみたいになりそうで。


「いいじゃん。とことん騙してやりなよ」

「え?」

「楽しいでしょ、そっちの方が」


識くんからの予想外の言葉に何度も瞬きをする。
ニコッて笑ったその笑顔が眩しくて。

……騙してやる、か。
確かにそっちの方が気持ちが楽かもしれない。

なんだか心が軽くなった気がして自然と笑みが零れた。



………ねぇ識くん。
やっぱり私には、女遊びがしたくてしているようには見えないよ。



< 78 / 344 >

この作品をシェア

pagetop