シュガートリック
愛なんてもの
それから数日経って。
いつも通り学校に登校すると飛び交う視線と話し声。
私と識くんの噂は前よりも大きくなっていて。
私一人だけの噂なら慣れてきてはいたけど、私と識くんの二人の噂はまだ慣れたものではない。
ふぅ、と息を吐いて靴を履き替えると。
「おはよう雪音」
「…っ!!」
後ろから急にかかった声に、ビクッと肩を揺らしてしまう。
び、びっくりした……っ!!
パッと後ろを振り向くと、そこにはニコニコ笑ってる識くんがいて。
「お、はよう……」
「そんな驚く?」
「いや……朝と帰りは声に敏感で」
あはは……と苦笑いする。
朝と帰りは声かけられたりしやすいから……警戒してて。
靴を履き替える時警戒が少し緩むから、その瞬間に声かけられたら驚くよ……。
これからはもっと気を引き締めなくちゃ……と意気込む。
でもまさかこの時間に識くんに会うとは……。