シュガートリック




「……女の子が好きだから」

「嘘。識くん、そんなふうに見えないよ」


少し目を泳がせながら言った答え。

……わかりやすいなぁ。
フッと微笑んでそう言う。


私がこの目で見てきた識くんは……特別女の子に興味があるようには見えなかった。

自分の意思で女遊びをしているんじゃなくて、自分の意思を持たずに周りの女の子に流されているかのよう。

だって、誰のことも自分から誘ったことはないんでしょ。女の子が好きならもっと積極的なんじゃない?
誘われたら行く。ただそれだけ。どちらかというと、遊んでいるのは識くんじゃなくて女の子達の方。

識くんは女の子達の理想像でいるだけ。
唯一意思のある、保健室だけはダメっていうのはよくわからないけど……。


「……俺そんなにわかりやすい?」

「ううん。私は、周りの顔色を伺いながら生きてきたから、なんとなくわかるの」




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