Good day ! 3
眠りから覚め、ぼんやりと目を開けた恵真は、見慣れない天井を見上げてぼーっとする。

(あれ?ここ、どこだろう…)

そしてすぐにハッとする。

(そうだ、赤ちゃん!)

慌てて横を向くと、大和が赤ちゃんを抱っこしてあやしているのが目に入った。

身体を揺らしながら、いい子だなーと顔を覗き込んで話しかけている。

「大和さん」

恵真が呼びかけると、大和は振り返って笑顔になる。

「恵真、良く眠れた?」
「はい。赤ちゃん、泣いてましたか?」
「ううん、全然。女の子の方はぐっすり寝てる。お兄ちゃんがさ、目をぱちくりさせて手足パタパタさせてるんだ。だから遊んでたところ」

すっかり手慣れた様子で赤ちゃんを抱く大和を、恵真はなんだか頼もしく感じる。

「この子、恵真のお腹の中でもパタパタしてたもんな。産まれてからもおんなじ動きしてる」
「ふふ、そうなんですか?」
「うん、なんとなくそう感じるんだ。ほら、足をグーッと伸ばして踏ん張ってるのなんて、恵真のお腹を踵で押してたのと同じ」
「あー、確かに!あれは痛かったなあ」
「そりゃ痛いだろうな。このキック力は凄い」

大和は恵真のすぐ近くまで来て、赤ちゃんを見せる。

恵真は手を伸ばすと、赤ちゃんを胸の上で抱きしめた。

「わあ、なんとなく女の子の方と違いますね。身体がしっかりしてる」
「ああ。肩とか骨格がね、やっぱり女の子とは少し違うね」

赤ちゃんは、じっと恵真を見つめている。

「ふふ、ママですよー。分かるかな?」

恵真は、頬を優しくなでた。

「お、もう一人も起きたかな?」

大和がベビーコットへ行き、女の子の赤ちゃんを抱いて戻って来た。

「こうやって見ると、双子だけど少し違うね」
「ええ。男の子は大和さんにそっくり」
「そう?女の子は恵真にそっくりだよ」
「そうかな?」

ようやく四人家族になった実感が湧いてきて、恵真は幸せをひしひしと感じる。

「大和さん、この子達のお名前は決まった?」
「あー、そうなんだよな。顔を見たらピンと来るかと思ってたんだけど…」
「やっぱり来ませんでした?」
「うーん、なんかもう、可愛い!しか頭の中で考えられなくてさ。恵真は?何かピンと来る名前ある?」
「んー、そう言われると私もなくて…」
「そっか。じゃあもう少し時間かけて考えてみよう」
「そうですね」

そして二人でもう一度、赤ちゃん達を見つめる。
< 112 / 182 >

この作品をシェア

pagetop