Good day ! 3
「私ね、この子達には、のびのびと育って欲しいんです」

ふいに恵真が話し始めた。

「初めて空を飛んだ時、こんなにも広い世界があったのかって感動しました。普段の些細な悩み事とか不安だった事、落ち込んでいた気持ちもパーッと晴れて、気持ちが一気に明るくなって。空はこんなにもきれいで、世界はこんなにも広い。もっともっと素敵な場所や、温かい人々もたくさんいる。下ばかり見てないで、広い視野で世界に目を向けようって思いました。空を飛ぶと毎回そんな気持ちになります。だからこの子達にも、自分の好きな世界でのびのびと生きていって欲しいです」
「ああ、そうだな」

大和も笑顔で頷く。

「好きな事をして、元気に人生を楽しんでくれたらいいな。俺達みたいに」
「ふふ、そうですね」
「どんな子達になるんだろう。楽しみだな」
「ええ」

二人で微笑み合い、もう一度赤ちゃんに目を向ける。

と、大和が急に顔を上げて一点を見据えた。

「大和さん?どうかしましたか?」
「恵真、この子達の名前。『佐倉 翼』と『佐倉 舞』はどうかな?」
「つばさと、まい?」
「そう。自分の翼で大きくのびのびと羽ばたく子に、そして、舞うように生き生きと人生を輝かせる子に」
「わあ…」

大和の言葉に、恵真はうっとりと微笑む。

「とっても良いお名前!素敵です」
「気に入ってくれるかな?この子達も」
「ええ、きっと。私達の想いが込もったお名前ですもの」
「そうだといいな」

二人で赤ちゃんに呼びかける。

「翼、舞。元気に大きくなるんだぞ」
「一緒にたくさん幸せになろうね。翼、舞」

大和と恵真は、もう一度顔を見合わせて微笑んだ。
< 113 / 182 >

この作品をシェア

pagetop