Good day ! 3
次の日。

恵真は朝から痛みに耐えていた。

(うー、痛い。麻酔が切れるとこんなに痛いのね)

検温や検査に来てくれる看護師にも言えずに、一人でじっと耐える。

「佐倉さん、今日から少しずつ身体を起こして歩いてみましょう」

(えー?!こんなに痛いのに?)

とは言えず、はいと頷いて、まずはゆっくりベッドから降り、トイレに行く。

「うん、大丈夫そうですね。歩けそうなら少しずつ歩いてくださいね。今日から柔らかいお粥も食べられますよ」
「は、はい」
「赤ちゃんは新生児室でお預かりしていますが、ご主人がいらしたら、お部屋に連れて来ますね」
「ありがとうございます」

笑顔でお礼を言ったが、看護師が出て行くと、一気に顔をしかめる。

(うー、痛いよー)

すると、ノックの音がしてスライドドアが開いた。

「恵真、おはよう…。どうした?!」

笑顔で病室に入って来た大和が、恵真の顔を見るなりベッドに駆け寄って来る。

「恵真、痛むの?」
「あ、ううん、大丈夫」
「大丈夫じゃないだろう?すぐに看護師さんを呼ぶから」

大和はナースコールを押す。

「佐倉さん、どうしました?」
「痛みが酷いみたいです」
「あら、そうだったんですね。今、背中のチューブの痛み止めを追加しますね」

処置をしてもらうと、すーっと痛みが引いて、恵真はホッと息をつく。

「我慢せずに教えてくださいね。痛み止めのお薬もありますから」
「はい、ありがとうございます」

看護師が出て行くと、大和が真剣な顔で恵真の表情を覗き込む。

「恵真、我慢する必要ないから。痛い時はちゃんと言うんだよ」

はい、と恵真は頷く。

「でも良かった、大和さんが来てくれて…」

気が緩んだ途端、泣きそうになる。

「まったくもう。恵真は何でも頑張り過ぎる。もっとわがままになっていいんだよ」
「そんな、ママなのにわがままなんて…」
「あはは!それ、ダジャレ?わがママって…」
「ち、違います!」

おかしそうに笑い続ける大和に、恵真もふっと笑みを洩らす。

(さっきまで痛くて、一人で泣きそうになってたのに。大和さんがそばにいてくれるだけで安心する)
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