Good day ! 3
その時、失礼しまーすと、助産師がベビーコットを押して入って来た。

「ご主人いらしてるから、双子ちゃんお連れしましたよ」
「ありがとうございます!」

大和は嬉しそうに立ち上がり、ベビーコットを恵真の近くまでコロコロと移動させる。

「わー、今日も可愛いなあ」

目尻を下げる大和に、助産師が笑う。

「そんなに赤ちゃんお好きなら、パパさんがおむつ替えしてみますか?」
「え、いいんですか?!」
「もちろん。今ご説明しますね。私が妹さんのおむつを替えるので、パパさんはお兄ちゃんをお願いします」
「はい」

大和は真剣に助産師の手元を見ながら、真似をして翼のおむつを替える。

「赤ちゃんの股関節に気をつけて、足を無理に上げないように…。おしり拭きで優しく拭いて。そうそう、上手ですよ」
「出来た!」
「はい、ばっちりです。そしたら、交換した時間をこの表に記入してくださいね」

ベビーコットに付けられた紙に、大和は時間を書き込む。

「じゃあ、今後もこんな感じで、パパさんおむつ替えお願いしますね」
「分かりました!」

助産師が出て行くと、恵真は大和に笑いかける。

「大和さん、凄い。私もまだやってないのに」
「へへーん。なんか嬉しいな。恵真よりも一歩リード出来たぞ」
「えー、なんだか悔しい」
「まあまあそう言わず。おむつ替えは俺に任せなさい!」

勝ち誇ったように胸を反らす大和に、恵真も思わず笑ってしまう。

「そう言えば大和さん、Show Upは?間に合いますか?」

大和は今日からまた乗務する予定だった。

「ああ、13時だからまだ大丈夫。夜は面会に来られないけど、明日また朝から来るよ」
「無理しないでくださいね」
「無理なんかじゃないよ。俺がみんなに会いたいの」

その後もしばらく、写真を撮ったりおしゃべりを楽しむ。

「あ!私、まだ彩乃さんやこずえちゃんにも報告してなくて…。心配させちゃってるかも」

恵真は双子の写真と一緒に、メッセージを送る。

『ご報告が遅れてごめんなさい。
昨日、無事に双子が産まれました。
母子共に元気です。
男の子の「佐倉 翼」と女の子の「佐倉 舞」です。
どうぞよろしくお願いします!』

するとすぐに彩乃から返事が来る。

『恵真さん、大和さん
おめでとうございます!
昨日からソワソワとご報告をお待ちしていました。
恵真さんも赤ちゃんも元気で、本当に良かったです。
翼くん、舞ちゃん、良いお名前ね。
それにとっても可愛い!
翼くんは大和さん似で、舞ちゃんは恵真さんに似てる!
早く会いたいなあ。
恵真さん、まずはゆっくり身体を休めてくださいね。
またお会い出来る日を楽しみにしています!』

彩乃らしい、丁寧な返事に恵真も嬉しくなる。

こずえはどうやら隙間時間に読んだらしく、短い文が興奮気味に送られてきた。

『きゃー、可愛い!恵真、お疲れ様。
なんて可愛い双子ちゃん!翼くんと舞ちゃん!素敵な名前!あー、早く会いたい。伊沢にも転送するね。今から飛んで来ます。またあとでゆっくり写真見るー。可愛すぎるー』

(ふふっ、こずえちゃんらしい)

恵真は、行ってらっしゃい!良いフライトを、と返信した。
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