Good day ! 3
「じゃあ、まずは準備から始めましょう。お湯の温度は、ぬるめです。温度計があれば38度前後で。なければ、肘を入れて確かめてください」

2つ並べたベビーバスに、恵真と大和はそれぞれお湯を張り、温度を確かめる。

「沐浴に使うベビーソープとガーゼは、ベビーバスの横に置いておきます。それから、沐浴後に着せる肌着とロンパースも、袖を通して前を開いた状態で、おむつも載せてセットしておきます。バスタオルも広げて置いておきましょう。ではいよいよ、赤ちゃんの服を脱がせますよー。まず前を開いたら、びっくりさせないようにガーゼを身体に載せます」

助産師がお人形でやってみせるのを、恵真も大和も真剣に見ながら真似をする。

こういう時、恵真は舞を、大和が翼を担当するのが、暗黙のルールになっていた。

「赤ちゃんの頭とお尻をしっかり支えて、ゆっくりとお尻からお湯の中に入れていきます。少しずつ、ゆっくりですよー」

お尻にお湯が触れると、舞も翼も目をぱっちりさせて、何が始まったの?というような顔をする。

やがてお腹までお湯に浸かると、ほわーっと気持ち良さそうな顔をした。

「ふふ、可愛い」
「そうだな。極楽だーみたいな顔してる」

しばらくそのままお湯に慣れさせていると、二人とも身体をのびのび開くのが分かった。

「では、そろそろ身体を洗っていきましょう。片手で頭を支えます。その時、耳にお湯が入らないように、押さえられそうなら押さえてください。あら、さすがパパ。上手ですね」

手が大きい大和は、難なく翼の両耳を片手で押さえるが、恵真は四苦八苦した。

「無理そうなら大丈夫ですよ。では、お尻を支えていた手を離します。もし不安定なら、赤ちゃんのお尻をベビーバスの底に付けちゃっていいです。首から上はお湯から出してあげてくださいね。そしたら片手でベビーソープのポンプを押して、泡で洗っていきますよ」

赤ちゃんの首周り、脇の下、手首足首、お尻や頭など、優しく手で洗っていく。

「お顔は、ガーゼを使って洗います。目や口に泡が入らないように気をつけながら、そうそう」

最後にしっかりすすぐと、赤ちゃんをバスタオルに載せてすぐに包んだ。

「はい、あとは優しく身体と頭を拭いて、着替えの上に移動させます。おむつをつけたら、袖を通して肌着の紐を結びましょう。そして綿棒を使って、おへそや耳の中の水分も優しく取ります。いいですね。ロンパースの前を留めたら終了です!」

二人はホッとして肩の力を抜く。

「出来た!」
「わー、きれいになったね」

それぞれ赤ちゃんを抱き上げた。

「気持ち良かったか?」
「んー、いい香りがする」

翼も舞も、目をトロンとさせている。

「沐浴を終えると、赤ちゃんはお風呂上がりの心地よさに良く眠ってくれますよ」

助産師の言葉通り、少し揺らして抱っこしているうちに、二人とも眠ってしまった。
< 118 / 182 >

この作品をシェア

pagetop