Good day ! 3
「じゃあ、恵真。行ってきます」

翌朝。
大和は舞の授乳とおむつ替えを済ませ、寝かしつけてから玄関に向かった。

まだ起きている翼を抱いて、恵真が大和を玄関で見送る。

「行ってらっしゃい。フライト、お気をつけて」
「ありがとう。何かあったらいつでも連絡してね。おふくろも、すぐに駆けつけるって言ってた」
「はい、分かりました」
「じゃあ、翼、行ってくるよ。ママを頼んだぞ」

大和は翼の手を握ってから、恵真の頭を抱き寄せて頬にキスをする。

「行ってきます」

そう言って大和が出ていくと、パタンと玄関のドアが冷たい音を立てて閉まる。

(頑張らなきゃ。今日は私一人でなんとかしなきゃ)

シーンと静まり返った玄関で、恵真が、きゅっと口元を引きしめた時だった。

「あー!」

ふいに翼が声を出す。

「ん?どうしたの?翼」

顔を覗き込むと、翼は恵真をじっと見ながら手足を動かしている。

まるで、ママ!僕がいるよ、大丈夫だよ!と言っているようだった。

「ふふ、翼、頼もしいな」

恵真は翼に微笑むと、リビングに戻った。
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