Good day ! 3
10分程で着き、さすがに早すぎるかなと思いながら、ベビーカーに二人を乗せてクリニックの玄関に向かうと、準備をしていた看護師が気づいてドアを開けてくれる。
「あら、佐倉さんの双子ちゃん。どうしたの?」
「あ、はい。妹が、39度の熱を出して…。8時半に予約を入れたんですが、まだ早いですよね?」
「分かったわ。とにかく入って」
「はい」
待合室に入ると、事務の人があれこれと手伝ってくれ、恵真は助けてくれる人がいる事にホッとして涙が出そうになる。
「佐倉さん、先生がもう診察室に入っていいって」
「あ、はい!ありがとうございます」
先程の看護師が声をかけてくれ、恵真は舞を抱いて診察室に入る。
翼は、事務の人が隣で抱っこしてくれていた。
「おー、舞ちゃんに翼くん。おはよう!舞ちゃん、お熱が出ちゃったのかな?」
優しい萩原先生が、にこにこしながら話しかける。
「お母さん、様子を教えてもらえる?」
「はい。今朝、6時に母乳を飲ませていたら、口の中が熱いのに気づいて熱を測りました。その時に39度ちょうどでした。母乳はいつも通り飲みましたが、そのあとしんどそうに布団に横になっていました。呼吸も速かったです。7時前にイオン水を少し飲みました」
「なるほど」
先生は、カタカタとカルテに入力しながら頷く。
「舞ちゃん、ちょっとお熱測らせてね」
看護師が体温計で測り、38度8分ですと先生に伝える。
「お母さん、ゆうべ寝る前は普通だった?」
「はい、何も変わった事はありませんでした」
「分かりました。舞ちゃーん、ちょっと『もしもし』させてね」
先生は聴診器を当ててから、今度はアーンしてね、と舞に笑いかける。
「舞、アーン出来る?」
恵真が横から顔を覗き込むと、舞は真似をして先生に口を開けてみせた。
「お、上手だなー、舞ちゃん」
すると何を思ったのか、隣で見ていた翼も、アーンと口を開ける。
「え?翼はいいのよ?」
「あはは!翼くんも上手だな。どれどれ?うん、翼くんは元気だ」
先生は翼の頭をなでてから、恵真に話し出す。
「お母さん。舞ちゃんは今のところ、単なる風邪の症状です。熱も、子どもなら40度になるのも珍しい事ではありません。のどが少し赤いけど、母乳やイオン水も飲めているなら大丈夫でしょう。お薬を出しておきますが、とにかくゆっくり寝かせてあげてください。おでこだけでなく、脇の下を冷やしてみてもいいですよ」
「はい、分かりました」
「意識もはっきりしているし、目もしっかり合うから、心配し過ぎずこのままおうちで様子を見てください。もし、ぐったりして反応しなかったり、目がうつろになったり、水分も取れず、おむつも濡れなくなったら、いつでも電話してきてください。夜中でも大丈夫ですよ。何か気になる事があったら、すぐに連絡くださいね」
「はい、ありがとうございます」
恵真は深々と頭を下げる。
「じゃあね、舞ちゃん。お大事に。翼くんも、またね。バイバイ!」
先生が手を振ると、舞も翼も手を振り返した。
「おー、バイバイ上手だな。お母さん、お子さん初めての熱なのに、よく冷静に一人で二人連れて来たね。お母さんも倒れないように、舞ちゃんと一緒にしっかり横になってね」
「はい。本当にありがとうございました」
先生の気遣いが嬉しく、恵真は思わず涙ぐむ。
会計を済ませると、隣の薬局で代わりに手続きしてくれた事務の人が、薬を渡して説明してくれる。
そして車まで翼を抱っこして連れて来てくれた。
「じゃあね、舞ちゃん、翼くん。お大事にね」
「ありがとうございました」
恵真は何度も頭を下げてから、マンションへと帰って来た。
「あら、佐倉さんの双子ちゃん。どうしたの?」
「あ、はい。妹が、39度の熱を出して…。8時半に予約を入れたんですが、まだ早いですよね?」
「分かったわ。とにかく入って」
「はい」
待合室に入ると、事務の人があれこれと手伝ってくれ、恵真は助けてくれる人がいる事にホッとして涙が出そうになる。
「佐倉さん、先生がもう診察室に入っていいって」
「あ、はい!ありがとうございます」
先程の看護師が声をかけてくれ、恵真は舞を抱いて診察室に入る。
翼は、事務の人が隣で抱っこしてくれていた。
「おー、舞ちゃんに翼くん。おはよう!舞ちゃん、お熱が出ちゃったのかな?」
優しい萩原先生が、にこにこしながら話しかける。
「お母さん、様子を教えてもらえる?」
「はい。今朝、6時に母乳を飲ませていたら、口の中が熱いのに気づいて熱を測りました。その時に39度ちょうどでした。母乳はいつも通り飲みましたが、そのあとしんどそうに布団に横になっていました。呼吸も速かったです。7時前にイオン水を少し飲みました」
「なるほど」
先生は、カタカタとカルテに入力しながら頷く。
「舞ちゃん、ちょっとお熱測らせてね」
看護師が体温計で測り、38度8分ですと先生に伝える。
「お母さん、ゆうべ寝る前は普通だった?」
「はい、何も変わった事はありませんでした」
「分かりました。舞ちゃーん、ちょっと『もしもし』させてね」
先生は聴診器を当ててから、今度はアーンしてね、と舞に笑いかける。
「舞、アーン出来る?」
恵真が横から顔を覗き込むと、舞は真似をして先生に口を開けてみせた。
「お、上手だなー、舞ちゃん」
すると何を思ったのか、隣で見ていた翼も、アーンと口を開ける。
「え?翼はいいのよ?」
「あはは!翼くんも上手だな。どれどれ?うん、翼くんは元気だ」
先生は翼の頭をなでてから、恵真に話し出す。
「お母さん。舞ちゃんは今のところ、単なる風邪の症状です。熱も、子どもなら40度になるのも珍しい事ではありません。のどが少し赤いけど、母乳やイオン水も飲めているなら大丈夫でしょう。お薬を出しておきますが、とにかくゆっくり寝かせてあげてください。おでこだけでなく、脇の下を冷やしてみてもいいですよ」
「はい、分かりました」
「意識もはっきりしているし、目もしっかり合うから、心配し過ぎずこのままおうちで様子を見てください。もし、ぐったりして反応しなかったり、目がうつろになったり、水分も取れず、おむつも濡れなくなったら、いつでも電話してきてください。夜中でも大丈夫ですよ。何か気になる事があったら、すぐに連絡くださいね」
「はい、ありがとうございます」
恵真は深々と頭を下げる。
「じゃあね、舞ちゃん。お大事に。翼くんも、またね。バイバイ!」
先生が手を振ると、舞も翼も手を振り返した。
「おー、バイバイ上手だな。お母さん、お子さん初めての熱なのに、よく冷静に一人で二人連れて来たね。お母さんも倒れないように、舞ちゃんと一緒にしっかり横になってね」
「はい。本当にありがとうございました」
先生の気遣いが嬉しく、恵真は思わず涙ぐむ。
会計を済ませると、隣の薬局で代わりに手続きしてくれた事務の人が、薬を渡して説明してくれる。
そして車まで翼を抱っこして連れて来てくれた。
「じゃあね、舞ちゃん、翼くん。お大事にね」
「ありがとうございました」
恵真は何度も頭を下げてから、マンションへと帰って来た。