Good day ! 3
「はあ、びっくりしたなあ」

待合室に戻った途端、大和が大きく息をつく。

「ほんと。出産予定日が婚約記念日だった事にも驚いたけど、まさか双子だなんて」

恵真もそう言いながら、エコー写真をじっと見つめた。

「でも俺、じわじわと嬉しさが込み上げてきた。双子ちゃんだぞ?どうしよう、めちゃくちゃ楽しみだ!可愛いだろうなー」

既に目がハートになりそうな大和に、恵真も思わずふふっと笑う。

やがて「佐倉 恵真さーん!」と受付で呼ばれ、会計を済ませてから駐車場の車に乗り込んだ。

「えーっと、まだ10時半か。一旦マンションに戻って恵真を降ろしてから仕事に行くよ」

そう言ってエンジンをかける大和に、恵真がゆっくり口を開く。

「大和さん。私も一緒に会社に行きます」
「え、どうして?恵真は今日オフでしょ?」
「妊娠したことを、会社に報告しないといけないので。普通のお仕事ならもっとあとでもいいのでしょうけど、パイロットはそうはいきません。航空法で定められてますから…」
「恵真…」

大和は言葉を失う。

(そうだ。航空身体検査の基準で妊娠は不適合となる。つまり恵真は…しばらく飛べない)

ぐっと唇を噛みしめてから、大和は恵真を見つめた。

「分かった。俺も一緒に報告に行く」
「はい。ありがとうございます」

自分一人では心細かった恵真は、ホッとして微笑んだ。
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