Good day ! 3
次の日の夕方。

「ただいまー」

玄関から大和の声がして、恵真はパッと笑顔になる。

翼も舞も、あー!と声を出して玄関の方を見た。

「大和さん、お帰りなさい!」
「ただいま、恵真。翼も舞も、ただいま!いい子にしてたかー?」

恵真の頬にキスをしたあと、大和が両手で双子を抱き上げると、二人ともご機嫌でにこにこと笑う。

「あー、やっと会えた。みんなに会えなくて、もう寂しくてさ。恵真、大変だったでしょ?ありがとう」
「ううん。舞が熱を出して焦ったけど、すっかり元気になったし、それに一人で立てるようになったの!しかも今日は2、3歩歩いたのよ」

は?え…、な、何?と、大和はあまりの情報量に混乱する。

「ね、熱?!舞、熱が出たのか?」
「そう、39度。でも萩原先生がすぐ診てくださって、単なる風邪だから、ゆっくり寝かせてって。本当にその通りで、一晩ぐっすり寝たら、平熱になったの。良かったねーって喜んでたら、いきなり舞がすくっと立ち上がったのよ。もうびっくりしちゃった」
「ちょ、待って、恵真。熱がある舞を、恵真が一人で病院に連れて行ったの?」
「そう、翼も一緒に。看護師さんや事務の人も、皆さん助けてくれて、とっても助かったの」
「恵真…」

大和は双子を下ろすと、恵真を抱き寄せる。

「ごめん、恵真。肝心な時にそばにいなくて。恵真一人に大変な思いさせて、本当にごめんな。教えてくれたら良かったのに。ステイ先から電話した時も、そんな話しなかったから」
「ごめんなさい、黙ってて。大和さんに心配させたくなかったの」

そんな…と、大和はますます恵真を強く抱きしめる。

「突然熱出すなんて、びっくりしたし不安だっただろ?」
「うん、まあ。でもね、萩原先生に診てもらったら安心したし、舞もちゃんと寝てくれたの。翼もいい子だったから助かったし。これで私も、母親として少しは経験値上がったかな?」

ふふっと笑う恵真を、大和はまたぎゅっと抱きしめる。

「恵真、ありがとう。二人をちゃんと守ってくれて」
「うん。私と大和さんの大切な宝物だもん。何が何でも守らなきゃって、自然と力が湧いてきたの」
「ありがとう。俺、ほんとに恵真には頭が上がらない。俺にとって最高の奥さんで、翼と舞にとっては最強のお母さんだ」
「えー、また最強?私、怪獣じゃないのにー!」

口を尖らせる恵真に、ふっと笑いかけてから、大和は優しくキスをした。
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