Good day ! 3
第十九章 再び空へ
2027年5月5日。
双子は無事に2歳半になった。

「よーし、翼、舞。公園に行くぞー!」
「うん!」
「やったー!」

その日オフの大和が誘うと、二人もはしゃいで飛び跳ねる。

恵真はそんな三人を見て微笑みながら、お出かけ用の荷物をまとめた。

ゴールデンウィークで空港は大混雑だろうな、と思いながら、のんびりとマンションから公園への道を歩く。

「おかあさん。ここ、いく?」

途中のカフェの前を通りかかると、手を繋いでいた舞が恵真の顔を見上げて聞く。

「ふふ、舞はここのスコーンがお気に入りだものね。公園で食べる?」
「うん!」

舞は嬉しそうに笑う。

「こんにちはー、翼くん、舞ちゃん」

顔なじみの店員のお姉さんが、カウンターから声をかけてくれる。

「こんにちは!」

二人は笑顔で挨拶する。
恵真もうしろからカウンターに近づいた。

「こんにちは。えっと、今日はテイクアウトでお願いします」
「はい、何にしましょうか?」

恵真は、舞のお気に入りのクランベリースコーンと、翼のお気に入りのバナナマフィンを注文する。

「かしこまりました。飲み物は、いつものりんごジュースでいいですか?」

お姉さんが翼達に聞くと、二人とも、はい!と返事をする。

「大和さんも、いつものでいい?」
「ああ。そうだな」
「じゃあ、コーヒークッキーと、紅茶のスコーン、あと、アイスブレンドとホットのロイヤルミルクティもお願いします」
「はーい。皆様、いつものお気に入りセットですね」

お姉さんは、ふふっと笑いながら手早く用意してくれる。

「はい、お待たせしました。翼くんと舞ちゃんのは、氷抜きでストロー入れてあるからね」
「ありがとう!」
「あのね、こうえんでたべるの」

翼も舞も、お姉さんと少しおしゃべりするのがお決まりだ。

「そうなんだ!お外、気持ちいいもんね。あそこの大きな公園に行くの?今日は鯉のぼりも泳いでるよ」

こいのぼり?と二人は不思議そうな顔をする。

「うん。空を泳ぐお魚だよ」
「ええー、すごーい!」
「まい、はやくいこ!」

お姉さんの言葉を聞き、翼は舞の手を握って外へ出ようとする。

「翼、お姉さんに挨拶してからね」

恵真がやんわり引き留める。

「はーい。おねえさん、ありがとう」
「おねえさん、さようなら」

二人は手を繋いだまま、お姉さんに手を振る。

「またねー、翼くん、舞ちゃん」

恵真はお会計を済ませると、お礼を言って紙袋を受け取り、店を出る。

大和が翼の手を握り、翼はもう片方の手で舞と手を繋いでいた。

三人とも手を揺らしながら、ご機嫌で歩いている。

恵真は三人のうしろ姿を微笑ましく見ながらついて行った。
< 153 / 182 >

この作品をシェア

pagetop