Good day ! 3
「うわー、おさかなだ!」
「およいでるー!」

公園に着くと、大きな木に結びつけたたくさんの鯉のぼりが、悠々と風に泳いでいた。

「おかあさん、はしってもいい?」
「いいわよ」

すると翼と舞は、一目散に鯉のぼりに向かって走り出す。

「わー、すごい!」
「おおきい!」

二人で手を伸ばし、ピョンピョン飛び跳ねるが、とても手が届きそうにない。

「よーし、これならどうだ?」

大和が両腕に二人を抱く。
それでも鯉のぼりには届かない。

「おとうさんは?さわれる?」
「んー、お父さんでも無理だな」

皆で空を仰いだ時、ゴーと音がして飛行機が空を横切って行った。

「あ!ひこうき!」
「おさかなより、たかーい」

翼も舞も、飛行機に向かって手を伸ばす。

「あはは!さすがに飛行機は触れないぞ」

大和は笑いながら双子を下ろす。

「ほら、翼も舞も、ベンチに座って食べよう」
「うん!」

手を洗ってからベンチに座り、四人でティータイムを楽しむ。

「お外で食べると気持ちいいね」
「うん。あ!またひこうき!」

先程と同じルートで、飛行機が上空を飛んで行く。

「今日はA滑走路運用みたいだな」
「そうですね。この風向きですものね」

大和と恵真が話していると、舞がスコーンを手に首をかしげる。

「えーかっそーってなあに?」
「はは!A滑走路だよ。飛行機が飛び上がる時に走る道路のこと」
「え、ひこうき、はしるの?」

横から翼も身を乗り出す。

「ひこうき、とぶんでしょ?はしるの?」
「そうだよ。飛行機は、空を飛ぶ時にスピードを上げて道路を走るんだ。そこから空に飛び上がる」

ええー?!と、翼は舞と顔を見合わせる。

「まい、しってた?」
「ううん。おにいちゃんは?」
「しらない」

大和はクスッと笑うと、皆の顔を見渡す。

「よーし!じゃあこれから空港へ、飛行機見に行こうか!」
「いいの?」
「ああ。もちろん」

やったー!と二人は大喜びする。

「恵真も、飛行機見に行こう」
「そうですね。久しぶりだなー」

いつ以来だろう?と考えながら、四人で一度マンションに戻ると、駐車場の車に乗り込んだ。

翼は運転席のうしろのチャイルドシート、舞は助手席のうしろ、と、定位置が決まっていた。

「よーし、じゃあ空港にしゅっぱーつ!」
「おー!」

皆で盛り上がって車は走り出した。
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