Good day ! 3
「わー、ひこうき!」
「たくさん!すごーい!」

空港ターミナルの展望デッキに行くと、翼も舞もフェンス越しに見える飛行機に釘付けになる。

「おおきいね」
「うん、おおきいね」

二人で前を見ながら話し込んでいる。

「あ、うごいた!」
「ほんとだ!」
「はしってる」
「うん、どうろをはしってる」

大和はそんな二人の横にしゃがんで指を差す。

「あの飛行機、今止まったでしょ?これからスピードを上げて一気に空に飛び上がるんだよ」

ええー?!と二人は驚く。

「どうやって?」
「よーく見ててごらん」

滑走路に正対して止まっていた機体が、スタンディングテイクオフで一気に走り出した。

「わー、はやい!」
「すごいすごい!」

翼も舞も、興奮気味に飛行機を目で追う。

「そろそろ飛ぶよ」

大和の言葉通り、スーッと機首が引き上げられ、そのまま機体は空に浮かび上がる。

「あっ、とんだ!」
「おとうさん、とんだわよね?」

舞が確かめるように大和を振り返る。

「ああ、そうだよ。飛んだね」

二人は、高度を上げる飛行機を見上げ、やがて空の向こうに小さくなっていくと、バイバーイ!と手を振った。

「すごーい。ね?おにいちゃん」
「うん、すごかった!」

舞と翼は、目を大きくしたまま二人で顔を見合わせている。

「ほら、次の飛行機も飛ぶよ」

大和に言われて、また飛行機をじっと見つめる。

「あ、はしった!」
「はやいはやい!」
「とぶよー」
「わー、とんだー!」

二人はそのあとも、何度も飛行機の離陸を見ては興奮している。
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