Good day ! 3
翌月、6月1日から、恵真の復帰訓練が始まった。

まずは、大和がオフの日に合わせて、座学訓練から始める。

ライセンスを持つ機種のマニュアルや性能、リミテーションなどを確認するが、休んでいる間も何度も大和と確認していただけあって、難なくパスした。

7月からは、フライトシミュレーターを使っての訓練に入った。

重力も感じられるフルフライトシミュレーターは、訓練とはいえ久しぶりに空を飛ぶ感覚を味わえ、恵真は初めて空を飛んだ日の事を思い出して感慨深くなる。

同じく7月から双子の保育園も決まったが、慣れないうちは体調を崩しやすい事もあり、急な呼び出しに備えて、引き続き恵真の訓練は大和のオフの日に合わせてスケジュールを組んでもらった。

逆に大和が乗務の日は、恵真は双子を保育園に送ったあと、マンションで一人復習に励んだ。

二人一緒だからか、双子は保育園も楽しそうに通ってくれ、大和も時間を見つけては、恵真の勉強につき合ってくれる。

「急減圧のプロシージャーもしっかり復習しておいて。あとは、エンジンのフレームアウト時のドリフトダウン速度についても」
「はい」
「じゃあ、ランウェイ・ビジュアル・レンジについてやろう。羽田の34L滑走路は?」
「はい。カテゴリー1なので、滑走路視距離は550m以上、決心高は200フィート以上です」
「よし。じゃあ滑走路34Rは?」
「カテゴリー2なので、滑走路視距離は350m以上、決心高は100フィート以上です」

的確な大和の復習のおかげで、シミュレーターでの訓練も順調に進み、恵真は遂に実機での訓練に入った。
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