Good day ! 3
第二十一章 フライトデビュー
12月15日
いよいよ、翼と舞のフライトデビューの日を迎えた。

何日も前から支度をし、お絵描きしながら楽しみにしていた翼と舞。

「よーし、じゃあ行こうか!」
「うん!」

大和の言葉に、二人はとびきりの笑顔で頷く。

夜のフライトの為、夕方に例の空港ターミナルのホテルに行って祖父母と合流する。

「じゃあ翼、舞。お父さんとお母さんは先に飛行機に乗って待ってるからね。何か困った事があったら、すぐにおじいちゃんとおばあちゃんに言ってね」
「うん」

頷いてから立ち上がり、恵真は両親達に二人をお願いする。

「よろしくお願いします。夜の便なので、二人ともほとんど寝てると思いますけど、何かあったらCAさんに声かけてください」
「分かったわ。こちらのことは心配しないで」
「恵真ちゃんも大和も、操縦頑張ってね」
「はい」

母親達と話していると、ふいに大和の父が、グズっと涙を堪え始めた。

「あなた!また泣いてる?」
「だ、だって。夢のようじゃないか。大和と恵真ちゃんが一緒に飛ぶ飛行機に、孫と一緒に乗れるなんて…」
「そうですよね。こんな事が実現するなんて…」

父親同士、感慨深く目頭を押さえている。
母親達は、ダメだこりゃ、と言わんばかりに首をすくめて苦笑いした。

「さ、二人とももう行って。翼くん、舞ちゃん、行ってらっしゃいしようか」
「うん!おとうさん、おかあさん、いってらっしゃい」
「行ってきます」

二人をぎゅっと抱きしめてから、恵真は大和とShow Upに向かった。

更衣室で制服に着替えてから、二人でディスパッチルームへ行く。

「お疲れ様です。186便の佐倉です」
「お疲れ様です。目的地、エンルートともにウェザー良好です」

ディスパッチャーから、フライトプランや天気図、ナビゲーションログなどの書類を受け取り、二人でブリーフィングを行う。

確認を終えて振り向くと、たくさんの社員が見送りに集まっていた。

(うわっ、また副社長も!)

恵真は腰を低くしながら、「頼んだぞ、行ってらっしゃい!」と、副社長に肩をポンと叩かれる大和のうしろに控えていた。
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