Good day ! 3

二人で空港ターミナルを、フライトバッグを引きながら歩いて行く。

「佐倉さん！いよいよですね。行ってらっしゃい」

グランドスタッフ達にも声をかけられ、恵真が笑顔で会釈をした時だった。

「あ、おとうさん！おかあさん！」

聞き慣れた可愛い声がして、恵真と大和は視線を上げる。

ベンチに座った両親達の横で、翼と舞がこちらを見ながら立ちすくんでいた。

制服姿の大和と恵真にどう接していいのか、子どもながらに躊躇しているようだった。

大和は立ち止まり、フライトバッグから手を離してしゃがむと、二人に声をかけた。

「翼、舞、おいで」

次の瞬間、二人はパッと笑顔になり、一目散に駆けて来て大和の腕の中に飛び込んだ。

「うわ、ははっ！二人とも凄い勢いだな」

なんとか抱き留めた大和が、二人の頭をなでる。

恵真も隣にしゃがむと、手を伸ばして交互に二人をなでた。

「おとうさんもおかあさんも、かっこいいね！」
「そうか？ありがとう！」
「ほんとのパイロットみたい」
「ま、舞。お父さん達、本当のパイロットなんだけど…」

舞の言葉に、大和はタジタジになる。

「まあ、あまり実感はないかもしれませんけど、きっと覚えていてくれますよ。いつか思い出して、理解してくれたらいいですね」
「そうだな」

恵真の言葉に頷くと、大和は二人をもう一度抱きしめてから、祖父母のもとへ促す。

「じゃあ、二人ともあとでな。おもちゃや美味しいご飯も出てくるから、楽しみにしてて」
「うん！」

二人は笑顔で頷くと、ベンチに戻って行った。

「パイバーイ！」

大和と恵真も笑顔で手を振り返し、シップへと歩き始めた。