Good day ! 3
楽しかったハワイでの日々も、あっという間に最終日となる。
「明日のフライトも楽しんでくれるかな?」
「ああ。もしかしたら、またおもちゃと機内食に夢中かもしれないけどな」
「ふふ、ま、それでもいいか」
「そうだな」
ベッドでぐっすり眠っている二人に笑いかけてから、恵真と大和はバルコニーからの夜景を眺めていた。
すると、メッセージアプリの家族のグループに、大和の父からメッセージが届いた。
『送りそびれていたけど…。フライト中、大和のアナウンスが聞こえてきた時、ちょうど撮ってたんだ。二人とも可愛かったぞ』
そして動画が送られていた。
早速再生してみると、翼と舞が佐々木から絵本を貸してもらい、ありがとう!とお礼を言っているところだった。
『ご搭乗の皆様に、コックピットよりご案内申し上げます』
ふいに大和の機内アナウンスが聞こえてきて、二人はハッと顔を上げる。
「おとうさんだ!」
そしてじっと上を見ながら耳を傾けている。
しばらくすると、
「おかあさん!」と声を上げ、更に、
「つばさっていった!」
「まいっていったよ!」
と、目を輝かせて喜んでいる。
やがてアナウンスが終わると、二人でパチパチと手を叩きながら顔を見合わせた。
「おとうさんだったね!」
「うん。おかあさんもね!」
「つばさもね!」
「まいもね!」
にこにこと嬉しそうに笑う二人に、恵真も大和もじんわりと涙が込み上げてくる。
お互い泣き笑いの表情で顔を見合わせた。
「大和さんの想い、伝わりましたね」
「ああ、そうだな」
大和が更に目を潤ませる。
「恵真。俺、今回のフライトほど、パイロットになって良かったと思ったことはないよ。恵真と一緒に、子ども達と一緒に、両親と一緒に飛べたなんて。俺はなんて幸せなパイロットなんだろう」
恵真も、はいと頷く。
「私もです。パイロットの道を選んだ時、まさかこんなにも幸せな瞬間が待っているなんて、夢にも思っていませんでした。パイロットになれて、大和さんと出会えて、本当に良かった」
大和は恵真を優しく抱きしめて頷く。
「世界一幸せなパイロット夫婦だな、俺達」
「ええ」
「この先も、どんな幸せがあるんだろう。これ以上の幸せなんて、あるのかな?」
すると恵真は、思い出したようにクスッと笑う。
「ん?何?恵真」
「あのね、部長に言われたんです。翼と舞が20歳になったら、フルムーンフライトで飛んでくれって」
ええ?!と大和は驚いて恵真の顔を見る。
「フルムーンフライト?!子ども達が20歳って…何年後だよ?」
「17年後です。部長、定年退職してるけど見届けに来るって。それにSNSのコメントでもお客様から、ハネムーンフライトも子どものフライトデビューも乗ったら、あとはフルムーンフライトでコンプリート!って書かれてましたよ」
はあ…と大和は気の抜けた返事をする。
「考えてもみなかった。そんな先のこと…」
だが、だんだんと大和の顔に笑顔が広がる。
「いや、いいな!17年後のフルムーンフライト。やってやろうじゃない。な?恵真」
「ふふふ、そうですね」
「ちょっと待てよ。17年後、俺は57歳か!わー、鍛えておかないと。親父とおふくろは?82歳か。長生きしてもらわないとな」
真顔でブツブツ呟いてから、大和は恵真に笑いかける。
「恵真、俺達の幸せって、まだまだもっと続くんだな。楽しみだな!」
「ええ。翼も舞も、どんな子に成長してるでしょうね」
「ああ。もう想像するだけで楽しみで仕方ないよ」
大和はもう一度、恵真を抱きしめて耳元でささやく。
「恵真、これから先もずっとずっと一緒にいよう。そしてもっともっと幸せにする。恵真も、翼も舞もね」
「はい。大和さんと一緒なら、私はいつまでも幸せでいられます。翼も、舞も」
大和は微笑んで頷くと、恵真に心からの愛を込めてキスをした。
夜空に輝く星、打ち寄せる波の音、ふわりと心地良い風、そして可愛い子ども達の寝顔。
二人を包み込む世界は、果てしなく優しかった。
「明日のフライトも楽しんでくれるかな?」
「ああ。もしかしたら、またおもちゃと機内食に夢中かもしれないけどな」
「ふふ、ま、それでもいいか」
「そうだな」
ベッドでぐっすり眠っている二人に笑いかけてから、恵真と大和はバルコニーからの夜景を眺めていた。
すると、メッセージアプリの家族のグループに、大和の父からメッセージが届いた。
『送りそびれていたけど…。フライト中、大和のアナウンスが聞こえてきた時、ちょうど撮ってたんだ。二人とも可愛かったぞ』
そして動画が送られていた。
早速再生してみると、翼と舞が佐々木から絵本を貸してもらい、ありがとう!とお礼を言っているところだった。
『ご搭乗の皆様に、コックピットよりご案内申し上げます』
ふいに大和の機内アナウンスが聞こえてきて、二人はハッと顔を上げる。
「おとうさんだ!」
そしてじっと上を見ながら耳を傾けている。
しばらくすると、
「おかあさん!」と声を上げ、更に、
「つばさっていった!」
「まいっていったよ!」
と、目を輝かせて喜んでいる。
やがてアナウンスが終わると、二人でパチパチと手を叩きながら顔を見合わせた。
「おとうさんだったね!」
「うん。おかあさんもね!」
「つばさもね!」
「まいもね!」
にこにこと嬉しそうに笑う二人に、恵真も大和もじんわりと涙が込み上げてくる。
お互い泣き笑いの表情で顔を見合わせた。
「大和さんの想い、伝わりましたね」
「ああ、そうだな」
大和が更に目を潤ませる。
「恵真。俺、今回のフライトほど、パイロットになって良かったと思ったことはないよ。恵真と一緒に、子ども達と一緒に、両親と一緒に飛べたなんて。俺はなんて幸せなパイロットなんだろう」
恵真も、はいと頷く。
「私もです。パイロットの道を選んだ時、まさかこんなにも幸せな瞬間が待っているなんて、夢にも思っていませんでした。パイロットになれて、大和さんと出会えて、本当に良かった」
大和は恵真を優しく抱きしめて頷く。
「世界一幸せなパイロット夫婦だな、俺達」
「ええ」
「この先も、どんな幸せがあるんだろう。これ以上の幸せなんて、あるのかな?」
すると恵真は、思い出したようにクスッと笑う。
「ん?何?恵真」
「あのね、部長に言われたんです。翼と舞が20歳になったら、フルムーンフライトで飛んでくれって」
ええ?!と大和は驚いて恵真の顔を見る。
「フルムーンフライト?!子ども達が20歳って…何年後だよ?」
「17年後です。部長、定年退職してるけど見届けに来るって。それにSNSのコメントでもお客様から、ハネムーンフライトも子どものフライトデビューも乗ったら、あとはフルムーンフライトでコンプリート!って書かれてましたよ」
はあ…と大和は気の抜けた返事をする。
「考えてもみなかった。そんな先のこと…」
だが、だんだんと大和の顔に笑顔が広がる。
「いや、いいな!17年後のフルムーンフライト。やってやろうじゃない。な?恵真」
「ふふふ、そうですね」
「ちょっと待てよ。17年後、俺は57歳か!わー、鍛えておかないと。親父とおふくろは?82歳か。長生きしてもらわないとな」
真顔でブツブツ呟いてから、大和は恵真に笑いかける。
「恵真、俺達の幸せって、まだまだもっと続くんだな。楽しみだな!」
「ええ。翼も舞も、どんな子に成長してるでしょうね」
「ああ。もう想像するだけで楽しみで仕方ないよ」
大和はもう一度、恵真を抱きしめて耳元でささやく。
「恵真、これから先もずっとずっと一緒にいよう。そしてもっともっと幸せにする。恵真も、翼も舞もね」
「はい。大和さんと一緒なら、私はいつまでも幸せでいられます。翼も、舞も」
大和は微笑んで頷くと、恵真に心からの愛を込めてキスをした。
夜空に輝く星、打ち寄せる波の音、ふわりと心地良い風、そして可愛い子ども達の寝顔。
二人を包み込む世界は、果てしなく優しかった。