Good day ! 3
「はい、大和さん。コーヒーどうぞ」
「お、ありがとう!」

早めの夕食もホテルで楽しんでから帰宅し、ソファに並んでコーヒーを飲む。

大和は何度も試着の時の写真を見ては、ニヤニヤしていた。

「恵真のドレス姿、ほんとに可愛いな。きれいだけど可愛い。大人っぽいけど、キュートなんだよ。分かる?」

もはや恵真は、苦笑いしか出来ない。

「それにしても驚いたなあ。恵真が試着室から出てきた時、夢の世界かと思ったよ。俺の知ってる恵真じゃないような気がした。でも恵真の手に触れた時、やっぱり俺の恵真だ!って思って、最高に嬉しかった。こんなにきれいな花嫁が俺と結婚してくれたなんて」
「あ、はい。あの、大和さん。そろそろ次の話題に移っていいですか?」

延々と続きそうな話を、恵真は真顔で遮る。

「何?次の話題って」
「衣装はこれで決まりですよね?でしたら次は結婚式の日取りです。今日、空いている日に丸を付けてもらいましたよね?」

そう言って恵真は、もらったパンフレット一式の中からカレンダーを取り出す。

「ああ、そうだな。俺としてはなるべく早く式を挙げたいから、もう決めないとな」
「早くって言っても、さすがに来月とか再来月は無理ですよ。せめて6月に入らないと」

えー?と大和は不服そうにする。

「だって、4月のフライトスケジュールはもう発表されてますよね?5月の希望休申請も終わってますし。それに列席者は家族だけとは言え、皆さんの都合だってあるんですから」

そうだけど…と、大和はカレンダーに目を落とす。

「じゃあ6月でなるべく早く…あっ!」
「び、びっくりしたー。どうしたんですか?急に」

恵真は思わず仰け反ってから、大和を見る。

「恵真、この日にしよう!6月6日の記念日」
「6月6日?何の記念日ですか?」
「俺達の初フライトだよ!」

え?と恵真は驚く。

「それって、私達が初めて会ったあの日ですか?もの凄く風が強くて…」

二人で福岡往復した日、マイクロバーストの中を大和が一発でランディングさせた日だ。

(そして、不運を嘆く私を、大和さんが力強く励ましてくれたのもあの日…)

「6月6日だったんですか?あの日って」
「そうだよ。語呂がいいから覚えてたんだ。それに見て!その日は大安だって」
「本当だ!しかも午前中の挙式なら空いてますね」
「ああ。平日だからだろうな。恵真、早速ご両親に予定聞いてみて。俺も親に聞いてみる」
「はい!」
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