Good day ! 3
「大和さん?どうかしたんですか?」
「彩乃さんが倒れて、病院に運ばれたらしい」

えっ!と恵真は言葉を失う。

「病院から野中さんに連絡があったそうだ。でも今、野中さんは関空で、これからフライトで帰って来る。彩乃さんとも直接話せていないから、様子を見て来て欲しいって」

そう言いながら、急いで出かける支度をする大和に、私も行きますと恵真が言う。

「恵真…。でも、体調は?」
「大丈夫。だから、ね?私も連れて行って」
「分かった」

二人は車で、彩乃が運ばれた病院に向かった。

野中が話をしてくれていたようで、友人ですと名乗ると、すぐに病室に案内される。

「…彩乃さん?」

個室のベッドに寝かされている彩乃に、恵真はそっと声をかけながら歩み寄る。

彩乃はゆっくりと目を開けると、恵真と大和を見て微笑んだ。

「恵真さん、大和さん」

その様子に、恵真は少しホッとする。

「彩乃さん、大丈夫ですか?具合は?」
「ありがとう。ご心配おかけしてごめんなさいね。近くのスーパーに買い物に行ったんだけど、立ちくらみがして倒れちゃったの。すぐに意識は戻ったんだけど、通りかかった人が心配して救急車を呼んでくれて」

そうだったんですね、と、恵真はその時の様子を想像して心が痛む。

「赤ちゃんは?大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。私も軽い熱中症だけだって。さっき点滴してもらって、だいぶ落ち着いたの。ごめんなさいね。私が処置を受けている間に、病院から真一さんに連絡がいったみたいで。私がその時、真一さんからの電話に出られなかったから、心配して思わず大和さんに電話しちゃったらしいの」
「いえ、こちらの事は気にせず。連絡もらって良かったです」

大和も心配そうに彩乃の様子を見守る。

「野中さん、今フライト中で。羽田に着いたらすぐに駆けつけるっておっしゃってました」
「ありがとうございます」
「それまで俺達、ここにいますから」
「え、それは申し訳ないです。恵真さんだって、大事な身体なんだから」

恵真は首を振って彩乃の顔を覗き込む。

「ううん、私は大丈夫。それより彩乃さん、何か欲しい物ないですか?私、コンビニで買って来ます」
「え、でも…」
「俺が行きますから。何がいいですか?」
「ありがとうございます。それじゃあ、スポーツドリンクをお願いしてもいいですか?点滴してもらったから、身体は大丈夫なんですけど、喉が乾いちゃって…」
「分かりました。看護師さんに飲んでもいいか確認したら、すぐに買って来ます」

そう言って、大和は恵真に頷いてから病室を出ていった。
< 77 / 182 >

この作品をシェア

pagetop