Good day ! 3
「そろそろスタンバイお願いしまーす」

佐野が呼びに来て、恵真と大和は立ち上がる。

ひと足先にコックピットエリアに行くと、大和は通路に身を隠して子ども達の到着を待つ。

恵真は部屋の入り口で参加者を出迎え、川原や佐野と一緒に誘導した。

「はい、ではパイロットのお仕事をするお友達はこちらに集まってくださいね」
「保護者の方は、こちらでご見学ください」

そして子ども達一人一人にジャケットを着せる。

「うわー、皆さんかっこいいですね。パイロットの制服、ばっちり似合っています」

川原が言うと、男の子達は嬉しそうに笑顔で保護者に向かってポーズを取る。

いいね、こっち見て!と、母親達もしきりに写真を撮っていた。

「さあ、では皆さんお待ちかね。いよいよ、本物のパイロットの登場です。今日は皆さんに会いに、機長がやって来ましたよ。それでは早速呼んでみましょう。佐倉キャプテンー!」

佐野の声を聞き、大和が笑みを浮かべながら颯爽と現れた。

うわー!という男の子達の声よりも更に大きく、きゃーー!!という母親達の声が上がる。

大和は男の子達の前まで来ると、キリッとした顔で挨拶する。

「皆さん、ようこそ。日本ウイング航空の機長、佐倉です。今日は皆さんに会えるのを楽しみにして来ました。どうぞよろしくお願いします」

よろしくお願いします!と男の子達も声を揃えてお辞儀をした。

大和は微笑んで頷くと、まずは男の子達の制服姿を褒める。

「皆さん、もう立派なパイロットですね。とてもかっこいいです。では早速、コックピットで操縦をしてみましょう」

大和がコックピットの左席に座り、子ども達が周りを取り囲む。

「パイロットは、飛行機の先頭にあるコックピットと呼ばれる場所で、飛行機を操縦します。コックピットは、こんなふうにたくさんのスイッチや計器やモニターが並んでいて、とても狭いです。機長は左の席に座り、右に座る副操縦士と一緒に、協力して飛行機を飛ばしています」

子ども達は頷きながら大和の話を聞いている。

恵真はうしろからその様子を、何枚も写真に収めた。
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