例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても

石垣の口から出る秋元家の仕事ぶりに、沙耶は少なからず身内であるという気持ちからか、若干だが胸が痛む。

まぁ、そもそもそういう人間だったから、沙耶のワンピースと、沙耶の持つ父の石垣の株の取引が成立したと言える。

指図される事を何より嫌い、嫌いなものはとことん追い詰め、相手の一番苦しむ手を考える。

祖母と叔母は短絡的で卑怯で自分の利益しか考えない人間だった。

しかし、そんな叔母の夫、つまり秋元家の養子として入った沙耶の叔父はというとーー



「叔父さんは違ったのかも。」




祖父はとっくに他界していた。



会社の采配は、恐らくその叔父と、血の繋がった確か弟が、引き受けていたはずだ。

そして、沙耶は、その叔父に会った記憶がない。

小さい頃、数える位は会っているとは思うのだが、全く残っていない。

つまり、本家に寄り付いていない。多忙故か、別宅を持っていたらしい。家族とは、外で会っていたのかもしれないが、だとすれば尚の事、知らない。


「そんなことはない。秋元家は、家族経営とは言っても、妻や母親にそこまで関わらせていない筈だ。だから、今の評価は、その叔父に向けられたものだ。沙耶の父親は経営には？」


石垣に訊かれて、沙耶は首を振る。