例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
「昔って……」
どれくらい、と訊こうとして、石垣ははっと息を呑む。
「ーーここで、か?」
沙耶の肩を掴む力が、僅かに弱くなる。
「竹林で?」
目の前の彼女は、頷かない。
言うつもりではなかったけれど、うっかり言ってしまった。そんな顔をして、固まっている。
思い切り後悔しているという表情を浮かべ、石垣からそっと身体を離した。
それこそが、答えだった。
「二重って……まさか、楓からもプロポーズされていたのか?」
予想だにしていなかった事実に、動揺を隠せない石垣は、更に最悪の想定を振り払えなかった。
「お前、楓が好きなのか?」