例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
「迷ってるのか?」
石垣の落胆の色は、薄暗がりでも、分かるほど。
沙耶も沙耶で、自分の気持ちがはっきりとわからないまま、大きな問題が次から次へと襲ってきて、目眩がしそうだった。
「秘書に…戻ってこないかって、言われてるの。」
分からない答えを言うわけにはいかず、先日出された坂月の提案を口走った。
石垣が、え、と驚きを零す。
「今思えば梟王のことを知ってたからだと思う。秘書になってくれれば、坂月さんがなんとかしてくれるって。でも、石垣も、きっと秘書が欲しいはずだって、坂月さんは言ってた。」
ーー『私と諒、どちらの秘書になりますか?』
坂月の言葉が沙耶の記憶の中から、飛び出してくる。
「俺は………お前を秘書に戻す気は無いよ。つーか、会ったのか?楓に?」
石垣は、困惑が大きすぎて、感情がないまぜになっていくのを止めることができない。
沙耶も沙耶で、自分がどんどん墓穴を掘っていってしまっていることに、気付くことができない。