例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても

浮かない顔をして、部屋の入口で立ち尽くす娘を、母である沙苗は、珍しく思った。

完全な長女気質の沙耶は、昔から泣いたり弱音を吐いたりすることなど、ほとんどなかった。

それは、親である自分が、沙耶に頼り過ぎていることが大きな要因であることは自覚している。

だが、彼女は強かった。
逆境があればあるだけ、臆することなく立ち向かっていった。

弟のように、少しでも、弱さを誰かに見せることが出来たなら、ここまで彼女が背負う事にはならなかったのかもしれない。

でも、沙耶は、全てを自分で担い、そしてそれを吸収して力にしていくような子だった。

それが良かったのか、悪かったのか問われても――どちらとも言えない。
良くもあり、悪くもある。

その強さが彼女を支え、彼女を追いこんでいる。

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