例えばその夕焼けがどれだけ綺麗だとしても
あった。ありまくった。
沙耶の顔にはそう書いてある。
弟に隠すこともできないなんて、今迄あっただろうか。
姉としてどんな時も気丈に振る舞ってきたつもりだった。
でも今回は、駄目だと思った。
今回ばかりは、1人の手に負えるものではない。かといって、母に話すことも結局できなかった。
「今日、さ……梟王百貨店に行ってきた……」
「梟王?なんで?」
それが、秋元の持ち物なんて知ったら、駿はどう思うのか、何と言うだろうか、考えると、沙耶の口は噤んでしまう。
そんな沙耶を知ってか知らずか、駿は立て続けにーーー
「父さんのこと、思い出してたの?」
予想だにしてない事を口にした。
「ーーーえ?」
どうしてそんなことが分かるんだと、沙耶が首をかしげると、駿も首をかしげる。
「あれ?違うの?父さん関係で梟王に行ったんじゃないの?」
きょとんとした表情を浮かべる駿に、沙耶は思わず訊ねていた。
「お父さんが、梟王と何の関係があるの?」