忘れられない夏がすぐそこに。
夏の恋のはじまり
シャッ、シャッ、シャッ
自転車を漕ぐたび、潮風で錆びたチェーンの音が鳴る。
今日の海も穏やかで、惜しみなく降り注ぐ太陽の光がキラキラと反射している。
優しく吹く潮風は気持ちいいけど、真夏の太陽は容赦なく肌を焼いていく。
「あつ・・・」
この炎天下の中、私は夏休みの日課であるおばあちゃんちの店番に向かっていた。
ここは海辺の田舎町。一番近くの大きなスーパーまでは車で20分かかる。そんな中でうちのおばあちゃんの商店は、食品から日用品を最低限取り揃えてあるコンビニのような役割をしていた。
家からおばあちゃんちまで、この海沿いの道路を自転車で走って5分。
いつもと変わらない道を海を横目に進んでいた。
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