忘れられない夏がすぐそこに。
・・・・・・あれ。
誰かいる。
ふと、目線を上げると少し先の堤防沿いに誰か立っているのが見えた。
見慣れない金色の頭。
徐々に距離が近づくと、金色の髪がサラサラと風に靡(なび)いていた。
・・・・・・綺麗・・・。
無意識にペダルを漕ぐのをやめ、ブレーキを引いていた。
ーーーキィッ。
あちこち錆びている自転車はやっぱり鳴る。
思ったよりもその音が大きくて、道路を挟んで反対側にいる青年が振り返った。
っ、
その顔を見て、私はハッと息を呑んだ。
かっこいい・・・
少し遠目だけど、はっきりとわかる。
この辺じゃ見かけない、都会的な顔っていうのかな。テレビとか雑誌のモデルさんにいそうだなと思った。