忘れられない夏がすぐそこに。
離れたくない
ーーーー約1年半後。
春。私はK大の門の前に立っていた。
「おし、実里行くか」
「うん」
隣にはスーツを着てちょっと大人びた純。
俺は実里をほっとけないからな、なんて言いながら、純は元々学びたい学部があってK大を志望していた。
だから幼馴染みの私たちが大学まで一緒なのはたまたま。
行き交う人々や校舎を見ると、胸が高鳴ってくる。
ついに東京に来てしまった。
『東京』というワードに古傷がまだ少し痛むけど、もうそれもだいぶ気にならなくなってきて、これから始まる新生活に胸がときめいた。
入学式が終わり、サークルの勧誘を受けながら純と帰路についた。
門のところにも人だかり。
すごいなぁ、なんて他人事のように思いながら通り過ぎようとした。
「実里っ!」