忘れられない夏がすぐそこに。
青年は、じっとこっちを見たまま表情を少しも崩さない。
っ・・・まずい、私も見過ぎたっ。
とりあえずぺこりと頭を下げ、再び自転車を漕ぎ出した。
誰だろう。
観光、かな?それとも誰かの親戚で夏休みだから遊びに来てるとか・・・?
じゃないとこんなところに用なんてないよね。
それにしても、かっこよかったな・・・。
長過ぎず短過ぎない綺麗な白みがかった金髪がすごくよく似合ってた。
白いカットソーに短パン姿だったけど、なんだかやけにオシャレに見えたなぁ。
やっぱり都会の人なんだろうな。
それに比べて、私の格好・・・。
白Tにデニムのショーパン。洒落っ気も何もない。背中まであるストレートな黒髪は暑いからポニーテールにしてるだけ。
もうちょっと可愛い格好してればよかったな・・・なんて、そんなことを思ってしまった。