忘れられない夏がすぐそこに。
「あ・・・いや、美味しそうに飲むなぁって思って」
「・・・・・・。飲む?」
「へ!?いやっ、大丈夫、です」
「・・・そ」
金髪くんはキャップを閉めると、カウンターの上にコーラを置き椅子の背もたれに寄りかかった。
「・・・涼しいな、ここ」
「そ、そうですね、冷房効かせてるから・・・。外は暑いですもんね」
「・・・・・・敬語」
「え?」
「敬語じゃなくていいよ。タメだし」
「あ・・・。でも・・・その、お客様だから」
「・・・・・・じゃあ、友達ならいいだろ」
「え、」
「友達になってよ。オレ、しばらくこっち居るし」
「あ・・・、そうなんですか?」
「ん。じいちゃんちに遊びに来てんの。佐々木光信、わかる?」
「え!光信(みつのぶ)さんのお孫さん!?」
「そ。やっぱ知ってんだ」
「はいっ。光信さんもよく来てくれますよ。いつもお元気ですよね」
光信さんは、去年65歳でこの町に引っ越してきた元気な男性。おじいちゃんって感じは全然なくて、どちらかと言うとダンディなおじさまという感じ。元々は東京に住んでいたらしく、定年後は田舎暮らしがしたかったそう。
「うるせーだろ、うちのじいちゃん」
そう言いながら、金髪くんは少しはにかんだ。