忘れられない夏がすぐそこに。


「あ・・・いや、美味しそうに飲むなぁって思って」

「・・・・・・。飲む?」

「へ!?いやっ、大丈夫、です」

「・・・そ」


金髪くんはキャップを閉めると、カウンターの上にコーラを置き椅子の背もたれに寄りかかった。


「・・・涼しいな、ここ」

「そ、そうですね、冷房効かせてるから・・・。外は暑いですもんね」

「・・・・・・敬語」

「え?」

「敬語じゃなくていいよ。タメだし」

「あ・・・。でも・・・その、お客様だから」

「・・・・・・じゃあ、友達ならいいだろ」

「え、」

「友達になってよ。オレ、しばらくこっち居るし」

「あ・・・、そうなんですか?」

「ん。じいちゃんちに遊びに来てんの。佐々木光信、わかる?」

「え!光信(みつのぶ)さんのお孫さん!?」

「そ。やっぱ知ってんだ」

「はいっ。光信さんもよく来てくれますよ。いつもお元気ですよね」


光信さんは、去年65歳でこの町に引っ越してきた元気な男性。おじいちゃんって感じは全然なくて、どちらかと言うとダンディなおじさまという感じ。元々は東京に住んでいたらしく、定年後は田舎暮らしがしたかったそう。


「うるせーだろ、うちのじいちゃん」


そう言いながら、金髪くんは少しはにかんだ。
< 7 / 26 >

この作品をシェア

pagetop