忘れられない夏がすぐそこに。
あ。おじいちゃんのこと好きなんだな・・・
表情からなんとなく伝わってきた。
「そんなことないですよ!いつも東京の話聞かせてくれて、面白いです。私が東京への憧れがあるから、いつも話聞いちゃうんです。あ、もしかして・・・東京からいらっしゃったんですか?」
「だから、敬語。そう、東京」
「あ・・・ごめんなさ・・・、ごめん。そっか、東京かぁ・・・、だからそんなにかっこいいんだね!」
満面の笑みで言ってしまった。
金髪くんは私を見たまま固まっていたかと思うと、ふいっと顔を逸らした。
あ、あれ・・・?
なにかまずかったかな・・・
「・・・・・・べつに」
そう言うと金髪くんは立ち上がってコーラを手に持った。
「・・・じゃ、今日は帰るわ」
「あ・・・あ、うん。気をつけて」
金髪くんの背中を見送った。
あ、名前聞くの忘れちゃった。
でもしばらくこっちにいるって言ってたし、また会うよね?
ギシッと椅子に腰掛けると、トクントクンと胸が心地よく波打っているのを感じた。