A Maze of Love 〜縺れた愛〜
 大翔は少しの間、されるままになっているけれど、急に体を反転させて、渚を組み敷く。

 真上から見つめてくる。
「ナギ……」

 ふと、その彼の眼に、憂いが宿っているのに気づいた。

 なんで、そんな悲しそうな眼をしているんだろう。
 
 でもそれはほんの一瞬のことで、大翔の眼は、すぐいつものように熱を帯びた。
 
 気のせいだ。
 こんなに幸せなときを過ごしているのに。

「ナギ……」
 囁きとともに、唇が降りてくる。
 舌が唇をなぞり、歯列を割って侵入する。
 手が後頭部に回り、引き寄せられる。

 甘くて濃密なキスを繰り返され、すぐにまた、渚の体の奥が疼きだす。
 感じすぎておかしくなってしまいそう。

 悲しそうなんて……そんなの目の錯覚だ。

「ナギ……」

 ふたたび彼を受け入れ、思うさま揺さぶられ、彼の重みを全身で受け止めながら、渚は胸に灯ったかすかな不安を打ち消す

 だって、大翔はこんなにも、渚を求めてくれているのだから。
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