A Maze of Love 〜縺れた愛〜

SIDE 2 凪咲

 車を少し走らせれば、大抵目にする、派手な看板の大手ファミレス。
 柴田大翔(ひろと)はそこの経営者の次男として生まれた。

 兄弟は兄がひとり。
 七つも歳上で、しかも腹違いだったから、遊んでもらった記憶はほとんどない。

 それに、たまに顔を合わせると必ず苛められた。
 兄は、大翔を、いや大翔の母を憎んでいたから。

 兄が小学5年生のとき、彼の母親は亡くなった。
 死因は酔っぱらって階段から落ちたこと。
 彼女が昼夜問わず、浴びるように酒を飲んでいたのは、父の浮気癖が原因だった。

 そして先妻の死後、たった二カ月で正妻の座についたのが、大翔の母だった。

 人目を惹く華やかな美人で、父と出会ったころは25歳という若さながら銀座のクラブでママをしていた。

 とにかく勝気な人で、嫌味を言われながら祖父母と暮らすのはまっぴらだと、大翔が幼稚園に上がる前から父に頼み込んで、会社の専務に就任した。

 もともとビジネスの才覚があったのだろう。
 お飾り専務ではなく、めきめきと頭角を現し、今では会社のナンバー2として君臨している。
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