A Maze of Love 〜縺れた愛〜
 きっと友達に話したら「そんな怪しい男、やめとけ」と止められただろうけど。

 でも、渚も彼が好きだった。
 あのとき、眼差しが交錯した瞬間、恋に堕ちた。

 出会ったばかりとか、そんなの関係なかった。

「わたしも」
 渚も即答した。
 彼は少し照れくさそうに前髪に触れ、そして言った。

「〝ナギ〟って呼んでいい?」
「うん、わたしはなんて呼べばいい?」
「大翔」
「わかった」

 渚は大翔を見上げ、ゆっくり目を閉じた。
 吐息と共に、二人の唇は重なった。

 それから、ひと月の間、会えるときは夜中でも会った。

 愛し合ったあと、大翔はずっと渚を抱きしめていてくれる。
 前に付き合っていた男は、自分が満足すると、すっかり興味が失せたように態度を一変させたけれど。

 大翔は決して、そんなことしない。
 渚を抱き寄せ、髪を撫でてくれる。

 そうされると、大翔を愛しく思う気持ちが渚の胸にあふれてくる。
 そして、起き上がって、彼の胸に頭をもたせかけて、甘えた声でつぶやく。

「大翔、好き」
 そうして、伸びあがって彼の唇に口づける。
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