海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
それにしてもアオが、水晶を初めて持った時の姿が修行をし始めた頃の俺を思い出させる。
あの頃の俺は呪力には長けていたが、魔力が全くもってなかった。
そんな俺に師匠は魔力を引き出す為に水晶を使った。

「これを魔力を使って割る所からだ」
「え…でも師匠…僕…魔力が」
「…大丈夫だ、今からお前の魔力を引き出す」
「へ?」
「腹を出してみろ」
「こうですか?」

ドス!!

「んぐっ!?」

師匠の5本の指が腹の真ん中に勢いよく入った。
俺はあまりの衝撃に膝から崩れ落ちた。

「がっ……がはっ……」
「いま、お前の魔力を出す為に魔点をついた。これで、赤子並みの魔力は出る」
「ぐ……」

師匠はうずくまっている俺の傍に水晶を置いた。

「今のお前ではこの世界で、呪術や術を使う事は死を意味するのは分かってるな?」
「っ……」
「術士はこの世界では罪人のようなもの、この世界で生き抜くなら魔力をつけ戦えなければならない。いくら、お前の父親から頼まれたとしても、お前が弱すぎたら話にもならない」

そうだ、この世界は術士には冷酷だ。
術士だけで忌み嫌われ、子どもなら最悪の場合人攫いに売り飛ばされる。

「強くなる…強くなって、アイツを倒す…」
「…赤子並の魔力なら、この水晶を割ることはできる…だが、この修行の目的は割ることが目的ではない…この修行の目的は魔力の上限を解放していく事だ」

俺は師匠が置いた水晶を手にとった。
水晶は微弱ながら、俺の魔力に反応した。

「……」
「俺は買い出しに街まででる。この場所から半径200mに結界を貼ってある。よっぽどの奴がこない限りは安全だ…俺が戻るまでにその小さい水晶が割れれば、段階的に強度がある水晶にしていく」
「はい!」


師匠との懐かしい記憶だが、師匠との修行の記憶はあまりにも厳しく、思い出すだけで身体が身震いしてしまう。
しかし、その厳しさのおかげで俺は強くなり、この世界で生きていける様になった。
師匠と戦うかもしれない…アオの夢を叶える為にも、アオには強くなってほしい。

「さて…あんまり行く気のらないが、アトランティスの情報と言えばあそこしかないな…」
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